『トムアットザファーム』
フランス・カナダ映画
『わたしはロランス』などのカナダ出身の監督グザヴィエ・ドランが、亡くなった同性愛の恋人の家族との奇妙な関係をバイオレンスを交えて描くサスペンス。恋人の葬儀に出席するために田舎へ向かった主人公が、恋人の兄で暴力的な男と過ごすうちに心に変化が生じていくさまを映し出す。主人公の青年をドラン自身が演じ、脚本と編集、衣装も担当。激しい愛と暴力、独特で繊細な人間関係など、若くして国際映画祭を席巻するドランの演出手腕に注目。
恋人のギョームがこの世を去り、葬儀に参列するために、彼の田舎に足を運んだトム(グザヴィエ・ドラン)。しかし、ギョームの母はトムのことを知らず、一方ギョームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)はトムとギョームの関係を他言しないようにと強く言い聞かされる。フランシスに脅されるうちに、トムはフランシスに死んだ恋人の姿を重ね合わせるようになり……。
この映画が教えてくれるのは、田舎や保守的な郊外、同じ考えの者が集ったサークルに参加すると、
最初は様子を伺ってみても、そのうち無言の暴力を感じる様になるというものだ。
監督のグサヴィエ・ドランは、若干25歳でカンヌ映画祭の審査員を勤める程の鬼才であり、素晴らしい俳優でもある。
この作品は、
審査員に任命されるまでに撮影したもの。
彼自身の生き様の苦悩が詰まっている作品とも言える。
映画業界が米国及び興行収入だけで評価される事を危惧した秀作と言えるのではないだろうか。
ただのゲイ映画ではないので(苦笑)あしからず。