キングギドラのZeebraがDragon AshのKjを「公開処刑」騒動の詳細
2002年にDragon Ashの曲が原因となって起きたキングギドラZeebraのKj「公開処刑」騒動。そのジャンルのファンやメディアにはこれ以前も以降もこんなに大きな騒動になった事はないだろう。
ヒップホップ業界では通称”Dis”と呼ばれるこの騒動、実はアメリカのヒップホップ隆盛の必要要素でもあったのです。「公開処刑」に至った経緯と、その内容に迫ります。
楽曲「公開処刑」でDragon AshのKjを公開処刑
キングギドラの「公開処刑」は2002年10月にリリースされたアルバムに収録されている楽曲ですが、実はこの歌詞の内容、Dragon AshのKjを批判したもの。
星の数ほどいるワックMC これ聞いてビビって泣くMC
まぁせいぜいスキル磨きなめいめい 覚悟決めるのはオメェダケージェイ
他の奴ら?用はねぇ バンド、取り巻き?用はねぇ
クセエェ金魚の糞?用はねぇ おめえのグレートフルデイズも今日まで
この先は通さねぇぜフェイク野郎 この俺が自ら手下そう
その「公開処刑」の歌詞がこちら。う〜ん、なかなかに過激な内容ですねwww
ドラゴン・アッシュが2000年に発表したシングルに「Summer Tribe」という曲がある。当時、私はこの曲を聞いて驚かされたものだった。
降谷 建志(Kj)のラップがジブラのスタイルに酷似していたのだ。いやスタイルが似ているというレベルではない。声、ライミング、PVでの動き方、すべてが似ていた。とりわけ“声”。意図的にモノマネしたとしか思えないレベルであった。ライミングに関しては、ジブラのクラシック曲「真っ昼間」を意識しているな、と思わせる部分が多かった。
自分達の曲を真似されたことに怒ったキングギドラZeebraがKjへの”Dis”として「公開処刑」を作曲した模様。いくら真似されたからって、こんな公に他人を”Dis”っていいの?と思う方もいるかとは思いますが、この”Dis”行為、ヒップホップの本場アメリカをはじめ意外と許容されているみたいです。
ディスという行為は、良くも悪くもアメリカにおけるヒップホップの隆盛を促した要素のひとつだと言われています。
相手をディスることで相手をヒップホップの流儀にのっとった上で「批判」し、「警鐘」を鳴らす。このようなディスは、MCバトルの人気とも繋がってアメリカで一般化しました。
このように、ヒップホップ界では昔から割りとよくあることのようです。
「公開処刑」で”Dis”の標的となったDragon AshのKj。Kjはキングギドラを尊敬していたとのことで、本人は真似したつもりはなく、憧れるあまりに声や曲調、パフォーマンスなんかが似てきてしまったのかもしれないですけどね。
下記に、Dragon Ash(Kj)の公開処刑後のインタビューを紹介します。
初めてあの曲の噂を聞いてから毎日考えてる。
考えなかった日は一日もない。
多分俺はずーっと引きずったまま生きてくんだと思う。
ROCKIN'ON JAPAN 2003/5月号より
公開処刑は、Kjにとっては、とてもインパクトが大きかったようです。2002年のMTVアワードで、ZEEBRAと会ったのを最後に、それから疎遠になるぐらいの出来事ですからね。でも、ZEEBRAは、公開処刑より以前にdisしているわけだから、ZEEBRAとしては、もっと早く気づいて欲しかったという事でしょう。
「まあ、でもあれはHIPHOPじゃないですか。KGだし。日本のHIPHOPの根っこになっている人達だから。HIPHOPでは許されるんだと思いますよ。人を中傷したりとか。競い合うという流れが凄く強いカルチャーだと思うし。
それこそ、彼らは半端な生き方はしてない訳だから。しっかりあのアルバムは評価受けてるし。言われた本人はそれは嫌ですけど、耐え難いですけど。買う人がいるという事は評価を受けてるって事なんですよね。
ただ、俺はなんの為に音楽をやっているかというと、人と競い合う為に音楽やってる訳じゃないし、人を傷付ける為に音楽をやってる訳じゃない。自分の音楽を聴いてくれる人には汗をかいて楽しんで欲しいし、時に考えて欲しいし。」
SWITCHより
このインタビューから、KjのHIP HOPについての見解が分かります。ZEEBRAと大きく違います。ZEEBRAはdisを肯定しているが、Kjはdisを否定しています。このことから、Kjがアンサーソングとかを出さないのが伺えます。Dragon Ashの公開処刑後の曲からは、ZEEBRAの模倣はなくなっているので、ZEEBRAも今のDragon Ashを認めています。
Kjは、模倣ではなく、REAL HIP HOP、Original HIP HOPを追求していく必要があったのでしょう。上辺だけのI LOVE HIP HOPでは、本気でHIP HOPをやってるZEEBRAが怒ってしまいます。